高等学校設置基準及び高等学校通信教育規定の改正に対する意見

文部科学省
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室 殿

理事長 森 昭三
日本学校保健学会

 貴職におかれましては益々、ご清栄にてお過ごしのこととお慶び申し上げます。
さて、今般の首記、改正につきまして日本学校保健学会を代表して意見を述べさせていただきます。

 本学会は児童・生徒・学生の健康の保持・増進に関する学術研究と、その成果の普及発展を図ることを目的に1954年から活動を続けております。学齢期の子どもの健康管理は単なる疾病管理ではなく、学習や友人関係をはじめとした種々の条件を含んだ学校という場での問題への対処であり単純ではないと考えられております。学校に於ける養護を掌る専門職である養護教諭は、その重要性から必置制が促進され教職員配置改善計画では児童・生徒数801名以上の学校に於いては複数で養護教諭を配置することなどの改正がなされたことは、子どもたちの保健管理、保健教育にさらなる充実をもたらすものと歓迎してまいりました。

 しかし、今般の改正(7)高校に置く職員のなかで、「・・・養護教諭その他の養護をつかさどる職員を必要に応じて置くものとする。」という改正は、従来の方向から大きく後退するもので、学校に於ける保健管理に危惧を感じざるを得ません。

 まず、学校に於いて養護をつかさどる職員が養護教諭以外にも担当できるとしている点であります。子どもが体調不良により保健室に来室する理由は、特に理由が無かったり学校におけるいじめ等の人間関係や勉学不振や不登校であったりという例が多く見られ、これらへの対応は養護教諭の職務としての健康相談活動を修得し、学校保健学によって学校に於ける組織的な活動、対応を学んだ養護教諭ならではの仕事と考えるからであります。

 また、上記のような問題から養護教諭の必要性は以前にも増して大きい今、必置制から「必要に応じて置く」との改正にも不充分であり後退さえ感じる次第です。これらについては、平成9年の保健体育審議会においても強調された通りであります。

 上記の理由から、高等学校設置基準には従来通り養護教諭の必置及び大規模校への複数配置を明文化していただけますよう切に要望いたします。